PECS®(ぺクス)とは何か?

PECS は、アンディ・ボンディ Ph.D.とロリ・フロスト M.S. CCC-SLP によって 1985 年に米国において開発さ れたユニークな代替/拡大コミュニケーションシステムです。

PECS は、デラウエア自閉症プログラムにお いて自閉症の診断を受けたプリスクールの生徒に初めて実践されました。それ以来 PECS は、様々な 認知的、身体的、コミュニケーションの困難を持つあらゆる年齢層の対象者に対して世界中で実践され てきました。

PECS の指導マニュアルは、B.F. スキナーの著書である Verbal Behavior 言語行動 (1957) と広範囲の応 用行動分析の知見に基づいています。自立してコミュニケーションを行えるようになるためにマニュアル を通じて特定のプロンプト方略や強化方略を使います。

マニュアルには、生徒が間違ってしまった場合 でも、正しい学習を促進するために系統的なエラー修正手続きも網羅されています。指導の際に言語指 示は出しません。そうすることで、速やかに自発的コミュニケーションを確立し、指示待ちを避けることが できます。 

 


1985年にアメリカのデラウェア州にて開発され、デラウエア州自閉症プログラムで最初に使用されてから、PECSはコミュニケーションの自発の要素に焦点を当てたものとして世界約10カ国以上に認知され、使用されています。複雑で高価な教材を必要とせずに教師、施設職員、家族なども御自身で作ることができ、様々な場面で簡単に使用できます。

PECSでは、要求を充足してくれる先生と欲しいアイテムの絵カードを交換することを対象者に教え始めます。トレーニング手順は、行動分析学者のB.F. スキナーの業績に基づき、ごほうび(好子)のシステムや手助け(プロンプト)を用いて指導を行います。そのような指導を通して絵カードを手渡して物を要求することやシンボルを弁別すること、シンボルを組み合わせて簡単な文を作ることを教えていきます。最も進んだ段階の指導では、コメントや質問に応答することも教えます。このような指導によって子どもから成人の方までもが自発的にコミュニケーションをとることができ、PECSを早くから使っている幼児の多くが発語も発達させているケースもあります。


このシステムの基盤となるPECSの指導法について書かれた『PECSトレーニングマニュアル第二版』は、ロリ・フロスト, MS, CCC/SLPとアンドリュー・ボンディ, PhDによって書かれ、効果的にPECSを実施する上で必要な全ての情報を網羅しています。この本は、トレーニングの6つのフェイズを通じて読者を導き、例、有益なヒント、進歩を追うための記録用紙を提供しています。このトレーニングマニュアルは、コミュニケーションや行動分析学の分野の専門家によって最も革新的な指導プログラムのひとつとして認められています。

(出典:ピラミッド教育コンサルタントオブジャパン株式会社HPより)